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Aug 20, 2021

奴隷労働・違法操業漁業による水産物の日本市場への混入の可能性

By EJF Staff

Environmental Justice Foundation(本部、英国。以下、EJF)は、日本へ水産物を輸出する中国漁船の一部で人権侵害及び、違法、無報告、かつ無規制漁業(Illegal, Unreported and Unregulated、以下、「IUU漁業」という)が行われていたことを報告した。 今回の報告は、台湾及び韓国漁船に関する、同様の人権侵害及び、IUU漁業の調査報告に続くものであり、7隻の中国遠洋漁船において、乗組員15名への聞き取り調査を実施した結果、船上で乗組員への殴打や言葉による虐待、不衛生な飲食環境、長時間労働の強制、産業規模の違法なフカヒレ漁の実態が明らかになった。2018年の調査開始以降現在まで、EJFは前述の7隻の中国漁船と、9隻のリーファー船と呼ばれる冷蔵貨物船の間で、合計11回の洋上で積荷を転載した可能性を確認しており、リーファー船はその後日本へ帰港している。

当該中国漁船の乗組員へのインタビューを通じ。ある男性は船長と上級乗組員からの身体的暴力及び、「海中へ投げ込む」という言葉による脅し受けたことを報告した。別の乗組員は、船内清掃中、冷凍庫内で船長から暴力を受けたと話をした。

身体的および言葉による虐待だけでなく、労働時間による懲罰も課せられた。ある船の乗組員は24時間勤務のシフトがあったことを報告した。一部の乗組員はまた、腐った食べ物を食べたり、汚れた水を飲んだりすることを余儀なくされたと語った。ある乗組員は、食料不足から飢えを常に感じていたこと、蒸留水を飲んだことにより、腹痛を起こしたことを報告した。調査を通じ、さらに、乗組員の多くが奴隷労働に苦しんでいることが明らかになった。彼らは給料の多くを天引きされた上に、何ヶ月も給与が支払われなかったと報告した。

調査では、乗組員による虐待に加え、フカヒレの除去やサメの遺体の海上投棄、シュモクザメやオナガザメなどの禁止されている種の捕獲、イルカやオキゴンドウの屠殺など、違法で残酷な行為が船上で行われていたことが明らかになった。

EJFのCEOスティーブ・トレントは、以下のように言及した。

1. これらの違法漁業は、海洋環境に多大な悪影響を及ぼすだけでなく、厳格に法規制を遵守する日本の漁業者にも不利益をもたらすこと

2. 乱獲による水産資源への悪影響や、経費節約を目的とした悪意のある船主による強制・奴隷労働は人権侵害を引き起こすこと

3. 幸い、すでに日本政府は本問題を十分認識しており、輸入規制を確立するために国会が最近講じた措置は称賛に値すると同時に時宜を得たものであること

4. EJFの調査で明らかになった本事例は、上記輸入規制が可能な限り厳格である必要がある理由を示していること。

EJFは、IUU漁業による水産物の日本市場への混入が、日本の漁業者へも悪影響を及ぼしている可能性があることから、日本政府による新しい水産物の輸入規制は厳格かつ包括的であることを期待し、以下の通り解決に向けた提言を行う。

  1. EU、米国などと同じ情報を漁獲証明書に使用することにより、水産物のサプライチェーンの透明性に関して国際的な最高基準を満たし、地球規模での協力を促すこと
  2. 水産業界およびNGOが、IUU漁業の可能性を日本政府と共有することにより、さらなる措置を講じること
  3. 不正な文書や活動を簡単に検出できるように、漁獲証明書の電子提出を義務付けること。
  4. できるだけ多くの魚種を対象とした水産物の流通管理を行うとともに、水産物の輸入を管理する他の日本の法律が同様に強固で一貫していること
  5. 輸入管理条件に人権問題を含めること
  6. 漁業犯罪に対して課された処罰を公表する等、水産業の透明性を支援すること
  7. 日本の水産物流通関係者でも、本件のような課題への対応策を迅速に実施すること

以上。


ジャーナリストの皆さまへ

●情報提供者を保護するため、名前を伏せている7隻の中国漁船に関するEJFの調査結果を受け、米国政府は本年5月下旬、32隻の船団を所有する悪名高い中国大連海漁業会社からの水産物の輸入を禁止する措置を講じました。同企業は、2020年、所有するLong Xing 629に乗船していた4人の乗組員が医療を受けられず、最終的に死亡した際、初めて国際的な注目を集めました。EJFや他団体が実施した、生き残った乗組員へのインタビューを通じ、強制労働や不衛生な船上の労働環境等、衝撃的な人権侵害が明らかになりました。

本件照会先

media@ejfoundation.org